サブプライムとマイクロファイナンスの違い

マイクロファイナンスのすすめ―貧困・格差を変えるビジネスモデル 」という本や、 「ネクスト・マーケット「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略」あたりの本を読んでいると、貧しい人が借金を踏み倒す確率が高いというのは間違いだということが書かれている。 これは、貧しい人たちに少額のお金を貸してきた経験から言える経験則なのだそうだ。 それでは、昨今の不況の引き金となったサブプライム問題とは何なのだろうか。 サブプライムというのは、住宅ローンのうち、リスクの高いもの=貸したお金が返ってこない可能性が高いものを、何人文化まとめて、証券化したものだ。 おそらく、借り手の多くは、貧しい人たちなのだが、金融危機を見ても分かるように、多くの人が住宅ローンを返せなくなってしまった。 つまり、貧しい人たちが借金を返さない確率が高いということはあながち間違いでもないのかも知れない。 日本でもマイクロファイナンスを普及させようというのが、冒頭で紹介した本の趣旨だが、本当にそんなことが可能なのだろうか? 一般にマイクロファイナンスの成否は事業の収益性と人物をしっかり見極めることが大切だといわれている。 つまりは審査機能が重要だという。 審査を充実させるということは、一件一件の審査にそれだけ時間がかかるということになる。 ただでさえ、貸し出し利率を低く抑えがちなこのての融資で、それだけ手間をかけても収益が上がるものだろうか? バングラデシュに代表されるマイクロファイナンスでは、むしろ「事業をやりたい」と自分から手を挙げることが大きなハードルになっていて、それが審査機能を果たしていたのかも知れない。 それに対して、サブプライム問題では、「もうこれ以上借りられない」「借りたくない」と思っている人に「大丈夫だから」と、言葉の保証を与えて家を買わせた。 だから、ちょっと返済がしんどくなると「じゃあ、もう家はいいや」と自己破産してしまう。 つまりは、借り手の気持ちの強さをある程度フィルターできれば、それだけで貸し倒れリスクというものは低くできるということなのだろうか。 ふと、マイクロファイナンス関係の本を読んでいて感じたこと。 ちなみに、マイクロファイナンスに関しては、ムハマド・ユヌス氏の「貧困のない世界を創る」が今はまず最初に読んで欲しい本でしょうね。

金融機関には無限責任が必要だ

2009年3月29日付けの日経新聞の「経済論壇から」というコーナーに、東京大学の松井彰彦教授が現在の金融危機に対するコメントが掲載されていた。 簡単にまとめると、現在の金融危機を処理するためには、不良債権の大きさがよく分かっていないことが問題だ。ただ、現在起こっている金融危機を見て、規制強化の議論をしても意味がない、むしろ市場が投資会社のリスク評価できる仕組みを確立することが大切だ。そしてなにより、市場参加者のモラルを育成しなければならない。というような論考だ。 すっきりした分析で、現状の問題をとても分かりやすく解説してくれているので、一読をおすすめする。 さてそこで、ちょっと考えるのだが、最後の「モラル」は本当に育成できるのかという問題だ。 性善説と性悪説のどちらかに立つかという問題だが、金融・投資業界に対しては、性悪説に立つべきだと僕は考える。 金融・投資業界というのは、人のリスクに対して投資するもので、本来は相手のことをよく考えてくれる人にしか業界に参加する資格はなかったはずである。現代でもエンジェルと呼ばれる人や社会起業に投資する様な人はそういう側面が強いだろう。 それが今は、銀行や投資会社に就職して、ある程度の地位になりさえすれば、投融資の判断をおこなうことができる。そこで考えられるのは、いかに自分の成績を上げることか、である。 特に日本の金融機関はがちがちに担保を取っているので、ほとんどリスクに対して投資している側面は低い。 銀行員の甘言にのせられたり、今後のつきあいを良好に保つためには・・・と思って、つい無理な借金をしてしまった中小企業は世の中に数多ある。 その結果は、少し業績が悪化したときにすべて持っていってしまう「貸しはがしだ」。 もともとが100%ビジネスベースで貸していないのに、返せなくなったら「うちも商売なんで」と貸しはがす。 (おっと、ちょっと個人的な恨み節が入ってしまった) 一方で、サブプライムローンなどの投資に失敗してつぶれそうになったら、公的資金の導入を求めるが、自分たちのリストラはしない。 投入した公的資金は、当然国民の税金だ。 投入された公的資金を100%返すまでは、収益を上げられていないのだから、自分たちの給料は半分とかになってもしょうがないはずなのに、それはしない。 結局は、自分たちの手はまったく汚さずに、自分たちの経営判断のミスを国民につけ回しているだけの業界だ。 彼らにモラルを求めるのは無理というものではないだろうか。 むしろ、銀行などに入社して一定レベル以上の地位になったら、「無限責任」のパートナーになることを義務づけることはどうだろうか。 そして、公的資金導入は、無限責任社員の資産を全部吐き出したあとに行う、あるいは、資産を担保に国が公的資金を貸し付けるという形だ。 こうすることで、好景気に出た多額のボーナスや配当で潤った人々が、不況の時にはその分のツケをきっちりと払うようになる。 一方で、不況時のことを考慮すると、あまり無理なことはできないので、好況時の行動も抑制的なものになる。 おそらくこういう抑制的な仕組みを金融業に導入することで、好不況の波が小さくなるはずだ。 少なくとも今のように、好況時にもらった給料は自分のもの、不況時の損失は、国民や中小企業が負うもの、という仕組みはどう考えてもおかしい。

「アースアワー」3月28日夜8時半、電気を消して地球を想う

greenz.jpを読んでいたら、「アースアワー」の紹介記事がありました。 3月28日に電気を一時間消すイベントだそうです。WWFが呼びかけて、Googleも賛同しているというので、わりと大きなイベントのようです。 電気を消すといえば、「電気を消してスローな夜を」と呼びかけている、キャンドルナイトイベントが有名ですが、3月にも同じようなイベントをやるのですね。 これで、夏至・冬至に加えて、3月28日となれば、後は秋にも何か欲しいですね。 日本の場合には、秋にはもともとお月見の風習もありますから、お月見ナイトのような仕掛けもたのしそうです。 ちなみに今日は、Make the RULEキャンペーンが、温暖化対策をきっちり制度化してくれるよう、国会に請願を届けに行く日です。 個人個人のアクションを見て、「じゃあ、国でもちゃんと対策しよう」と政策が動いてくれると、世の中が大きく動きます。 国会議員のみなさん、みんなの声を受け止めて下さい。 今年もやります! 3月28日夜8時半、電気を消して地球を想う、それが「アースアワー」。 | greenz.jp グリーンズ. Make the RULEキャンペーン

アメリカで小規模農家が増加傾向

アメリカではここ6年間で50エーカー(約20万平米)未満の農家が4%増加したそうだ。なんでもアメリカでは、70%の食料が6%の農家によって栽培されているそうだ。ただし、1億円(100万ドル)以上の売り上げがある農家が生産量全体の59%を占めている。この数字は2002年には47%であった。 この3つの数字を見ると、結局、アメリカでは二極分化が進んでいるのかな?という感じもする。 そもそもあちらの国では大規模農家が環境を汚染することが指摘されているだけでなく、食の安全の観点からも不安が広がっているのだそうな。 ちょうど今日、マイファームという、農家の遊休地を借りて個人に管理付きで貸し出すという会社をシンポジウムで見たので、なんだかシンクロする。 農業生産性は大規模化するほど高いのか?というと、必ずしもそうでもないという指摘もあるようで、小規模農家の取り組みを助ける政策が今、望まれているようだ。 そもそも農業の生産性とは何か?と考えると、今までは土地辺りの生産量で測っていたのかも知れないが、土地余ってきた現代では、土地を指標に使う必要はない。 一人当たりの生産量という観点は使えるかも知れないが、土地が一定規模以上になると、専業化・機械化・肥料や農薬の多用などから収益性がおちるようだ。 つまりは、一人当たりの生産量もそれほど重要ではなく、むしろ一人当たりの付加価値を考える必要があるのではないだろうか。 今年はこの辺について少し考えてみたい。 Small Farms on the Rise in America | Use Celsias.com - reduce global °Celsius. USDA Census (Part II): Destroying the Land, Destroying the Planet | SolveClimate.com.

4月のお話会は9日、お金の話です

そろそろ年度末で慌ただしい頃ですが、いかがお過ごしですか? 4月のスローなお話会は、4月9日19時から『お金を未来のために活かす使い方』について考えます。 スローなお話会は、ゆっくりと今と未来をつなげる時間です。 メモを取らずに、ひとりでお話を聞く時間を楽しんでいってくださいね。 今の世の中を見ていると、つい、お金を悪いものと考えがちです。お金ときちんとつ きあうことで、僕たちが望む未来をつくることもできるし、未来を壊すこともできます。 地域通貨や地域ファンドのように、地域をよくするためにお金を有効に活用してい る例をとりあげながら、お金の活かし方を考えていきます。 参加の予約は不要ですが、人数把握のため、ご連絡いただければ幸いです。 講師:坂田裕輔 日時:4月9日19時から(18時半受け付け開始)〜21時頃まで 講師:坂田裕輔 場所:カフェスローOSAKA 連絡先:右上の連絡用フォームからご連絡下さい。 料金:1000円(学割あり。条件があるので) +ワンドリンク(オーガニック&ナチュラル) 食事:季節の有機野菜を使ったお食事。要予約。 季節のプレート1200円、週替わりカレー800円、おにぎりセット700円 (動物性タンパク質を使わない、ベジタリアンフード(ビーガン)です) お話会について:http://www.ecofirm.com/n/archives/496 カフェスローOSAKAについて:http://slowspace.blog.shinobi.jp/ (大阪市淀川区十三元今里2ー5ー17) 学割制度について:http://www.ecofirm.com/n/archives/509 (条件:禁煙+マイボトル宣言にサインしてくれた人向け)

マイボトルのすすめ

環境に配慮した行動でよくあるのが、マイ箸です。 かくいう僕は、マイ箸を持ち歩いているものの、なかなか使う習慣がつかなくて、まわりの人に積極的にすすめることができません。でも3月に入って一念発起して、「マイ箸日記」なるものを付けはじめました。 もうちょっとデータがたまったら公開するかも知れません。 さて、それよりもみんなに取り組んでもらいたいなって思うのが、「マイボトル」です。 マイボトルは、エコなのはエコなんですが、コスト削減とおいしいものを飲めるという効果が大きく、一石三鳥の方法です。「マイボトルを持て」と学生に言うと、「一日に水筒一本では足りません」という回答が帰ってきます。 持ち歩くのがめんどうというよりは、飲み終わった後、新たにペットボトルを買うので、水筒とペットボトルの二本になるのが最大の障害のようです。 でもこれ、ちょっと考えてみると簡単に解決できます。 まずは水筒を持ち歩きます。 そして、中身がなくなれば、ペットボトルの飲み物を買います。 ポイントはここから。 買った飲み物は、すぐに水筒に移し替えて、ペットボトル自体は捨ててしまうのです。 そのために、水筒は500ml入るものを選びます。 そうすれば、カバンの中のボトルは常に一本ですので、そんなにかさばらないはずです。 まほうびんタイプを選べば、冷たいお茶は冷たいまま持ち運べます。 たぶん、衛生的にも、一旦口をつけたボトルのお茶がぬるくなっていくのはあまりよくないことですし。 水筒を持ち歩く利点で一番大きなことは、おいしい飲み物を持ち運べること。 十分に吟味したおいしいお茶を家で飲んでいる人が、なぜ出かけるときにはどこのものとも知れないお茶を高いお金を出して買わなければならないのか? せっかくだから、いつも飲んでいるお茶を持ち運べば、安くておいしいものが飲めるのです。 というわけで、「お金がないから環境イベントに行けない」という前に、マイボトルを実践しましょう。

お話会、第二回大盛況でした

本日の「スローなお話会」、来場者が24名でした。 スタッフの体制がまだ整っていなくて、かなりばたばたしてしまいました。 ライトがまぶしいという声もありましたね。 電球色のものを使って、使う数も減らした方がいい気もします。 今回からアンケートをとるようにしました。 かなり辛口のコメントもあって、ちょっぴり凹む部分もありましたが、すべての方を満足させることはできないと思い直しました。 話がおもしろくなかったり、考え方が合わなくても、できるだけ多くの方を刺激するような会にしたいという思いが今はあります。 アンケートでお褒めの言葉をもらうのもうれしいですが、やはり辛口コメントは今後の参考になるという意味では、貴重です。 ゆっくりと改善方法を考えて、よりよい会にしていきたいところです。

太陽電池の効率性追求は必要か

先日経済産業省が、家庭に設置した太陽光発電による余剰電力を販売価格の二倍で買い取る制度の導入を発表した。2007年にドイツに抜かれてしまった太陽光発電設置量もこれでだいぶ持ち直しそうだ。 技術的な面では、太陽光をどれだけ効率的に電気に変換できるかという競争も行われており、現在では23%を超える状況となっている。 しかし、ここではたと気づくのは、本当に太陽光発電に発電効率というのは重要なのか?ということだ。発電機を設置している屋根を見て欲しい。ほんの一部しかパネルが載っていないはずだ。もっとたくさん載せればいいのに・・・と思うかも知れないが、コストの問題があって、たくさんは載せられない。が、スペースが余っているのは事実だ。 仮に変換効率が低くて、従来なら屋根の4分の1のスペースで設置できていた太陽光発電装置を、効率が低いものを使うと屋根全部使わないと同じだけ発電できないとする。それでも結局は屋根を使うことには変わりない。むしろ屋根材一体型であれば、屋根全面を使っても別に問題はないだろう。 日本の会社が今やるべきことは、効率改善競争ではなく、効率は低くても、全体のコストを下げることではないだろうか?オーストラリアで開発された印刷機で印刷できる発電装置はまさにそういう発想だ。 なんとなく、効率改善=オタク、コスト重視=実際的な気がする。日本は狭いけど、屋根はまだまだ広い。 アイントホーフェン工科大学、シリコン型太陽電池の変換効率世界記録を更新 - Technobahn. オーストラリア政府機関、印刷機で太陽電池セルを印刷する新生産方式を確立 - Technobahn.

いつの間にか講演録が公開されてました

自治大阪という大阪府の動向を掲載する雑誌、自治大阪の2008年11月号に昨年マッセOSAKAでおこなった講演録が公開されていました。 この人、どんな講演するんだろうって思っている方、お話会の次は講演にと思っている方、あるいは、温暖化で自治体にはどういう役割があるのかな?と思う方、チェックしてみてください。 とても読みやすく仕上げてくれています。 といっても、原稿はチェックしているし、掲載も承諾していたので、いつ載るのかを知らされていなかったというだけなんですけどね。 その後も担当のIさんとの行き違い(?)ですでに載っていたことを知らされていなかったということみたいです。

自治体の温暖化対策、提言できました

5月から関わっていた、大阪府下の市町村職員による共同研究のアドバイザー、ようやく終わりました! 今日は研究員による報告会の後、打ち上げ。 テーマは、「自治体による温暖化対策」です。主眼を住民や事業者を自治体が推進する対策にどう巻き込んでいくか、やがては住民・事業者が主導するプロジェクトを行政がサポートする形にどうやって持って行くのかという点において研究しました。 報告書も出ましたので、もし欲しい方がいれば少しは僕の手元にありますのでお送りできます。 右上の連絡フォームからご連絡下さい。 しかし、すごく長く感じた事業でした。 メンバーが7名と少なかったので急遽知り合いと学生に加わってもらったり、お互いが意見を出し合えるように、会議を促進する手法(ファシリテーション)を取り入れたりと、なかなか大変でした。 僕にとっては、温暖化の話をおさらいする意味と、人々を巻き込む方法に関して僕なりに考えたこと、ファシリテーション技術の訓練と、大きな成果がありました。 まあ、その分、しんどかったんでしょうね。 ぶらっと行って適当なこと話して帰るという感じではなく、かなりみんなに入り込んで一緒にやった感があるし。 なにはともあれ、次の方々には感謝します。 ありがとうございました。 アドバイザーとして呼んでくださったマッセのみなさん、研究員のみなさん、研究員を送り出してくれた各自治体のみなさん、講演してくださった方、そしてサポートの二人。