江戸時代の江戸の街は、人口100万人前後だったといわれています。これは当時の世界でも有数の人口です。 大江戸リサイクル事情 などを見ると、江戸の街は循環型社会だったそうです。 ここでの最大のポイントは、食料をちゃんと供給できていたということです。 今よりも物流システムが充実していないなかで、どうやって生鮮食料品を供給できたのか。 この頃の農業は、化学肥料なんか当然ありません。 つまり、今でいう有機農業だったのですが、どこから肥料を調達したのでしょう。 そのカギが有機系廃棄物、特に人のし尿です。 都市から出る人の排泄物を近郊の農家が持ち帰って肥料にして、畑にまくことで、狭い土地で大量の野菜を生産することができました。 まあ、これは昔の話やから・・・と思う人も多いでしょう。 でも、現実の世界で、人口数百万人の都市を有機農業が支えているという事例が現実にあります。 キューバの首都、ハバナは人口200万人を抱える都市です。 この都市が実は有機農業で支えられています。 実際のところ、キューバという国は、200万都市が有機野菜で自給できるわけ―都市農業大国キューバ・リポートや、有機農業が国を変えた―小さなキューバの大きな実験でリポートされているように、国全体が有機農業をベースとして食料を供給するようになっています。 この一つの原因として、米国がキューバとの取引を停止したため、外貨著しく不足し、化学肥料などの購入がこんなんになったことがあげられます。 このことはまあよく知っていたのですが、実際にはどうなっているのか、よく分かりませんでした。 それで関心だけは持ち続けていたところに、ちょうど「Salud! ハバナ〜キューバ都市農業リポート」というDVDを僕も関わっているショップで扱うことになりました。 このDVDを見ると、ハバナの町中が農地にかわっていて、そこでまさに食料生産が行なわれています。 日本だったら、そもそもこんな土地はないかもしれないし、土地があれば公園になっていそうな感じですが、それが、見事に農地になっています。 以前はコンクリートが貼られていた場所を大変な苦労と時間をかけて農地に戻したということです。 DVDを見る限り、相当な雇用にもなっています。 そう、有機農業ってすごく手間がかかることなので、雇用効果は大きいんですね。 仕事は大変だけど、働く場を提供するという意味、都市では特に大きい気がします。 今まで社会主義国で怖い国なのかな?というイメージもありましたが、さすが中米の国(北米に含まれるという話もあります)ですね。 みんな楽しそうに暮らしています。 なんとなく、中国に近い感じで市場経済化がかなり進んでいるようです。
調査の方法:そんなことを知りたいんじゃないでしょ?
CNNの記事によると、携帯電話とがんの関係について調べた研究者がいる。 調査期間中に携帯電話サービスを申し込んだ45万人を追跡調査した。 その結果、両者に有意な関係は見られなかったという。 ただ、記事中でも指摘しているが、携帯電話を申し込んだ人とがんとの関係を見ただけで、携帯電話をよく使うひととがんの関係を調べたわけではない。 で、この分析結果に何の意味があるんだろう? それなりの金額のお金を投入して分析した結果、携帯電話利用者と国民全体でがんの発病率に違いはないという結果が得られた。 ここからいえることは、一般の国民と比べて携帯電話利用者は特別なグループであるとはいえないということだ。 結果が逆の場合でも、おそらく携帯電話が健康に与える影響を分析した事にはならないだろう。 頻度を問わずに携帯電話を持っている人が病気になる確率が一般の国民より高いとすれば、その原因は、おそらく携帯電話のせいではなく、携帯電話を持つような人が共通して持つ何らかの行動パターンが影響している可能性が高い。 まあ、そんなわけで、調査っていろいろあるけど、なにを分析したいのか、その手法はちゃんと目的に適合しているのか、やる前によく考える必要がある。
風邪です
昨日(木曜日)の講義は、話しているうちに頭がぼーっとしてきて、途中でなにをしゃべっているのか分からなくなってしまいました。 開始45分ぐらいで、中断。 ちょうど授業評価のアンケートがあったので、これを書いてもらうことにしました。 これまで熱があって授業する事はありましたが、こんなふうにぼーっとなってしまうことはありませんでした。 年取ったのかなあ。。。 風邪の対応策っていろいろあると思いますが、あまり強いくすりは飲みたくないなあって気がします。 僕は暖かくして早く寝るというのが一番いいですね。 ちなみに、この「暖かくする」ですが、いろいろ方法があるみたい。 ・カイロで腎臓の辺りを暖める。(最近、張るカイロがあるから、これがすごくいいらしい) ・足湯 ・ショウガくず湯を飲む ・のどの周りをタオルでくるんで暖める などなど。 他にもいい方法があるのかな。
過ぎたるは及ばざるが如し~敦煌の太陽光発電
中国は敦煌に世界最大級の太陽光発電システムを建設するそうだ。総事業費は約900億円で、規模は10万キロワット。 最近の原子力発電所が1基あたり100万キロを超えるので、その1割ぐらいをまかなうような計算になる。 そう考えると、結構大きいですよね。 稼動目標は5年後ということなので、今計画を発表して、わずか5年で建設が完了する。一般に原子力発電所の場合、計画を発表してから完成までだいたい25年ぐらいかかるので、これもさすが中国というところか。 建設期間も短めな気がしますね。 しかし、いくら太陽光発電が環境にいいといっても、一箇所にこれだけ大きな物を作る意味はどれぐらいあるんだろう・・・ ここから一番近い都市まで高圧線で送っても、ロスは2~3割はあるはず。 それに、砂漠の温度を考えると発電効率が低下することも考えられる。 となると、おもったよりも発電量が少なくなるかもしれない。 考えられる副作用としては、地面の日照が少なくなることと、水蒸気をあまり放射しにくくなることで草が生えてきたりするかも。。。どうかなあ。 CNET Japanの記事
市町村合併と道州制の行き着く先
最近、ちょっと気になるので情報収集だけはしている。 自治体をどう変えるか(佐々木信夫著)は、これからの自治体像はどうあるべきかを正面から考えた提言の書だ。 著者は東京都庁の職員を経て東大教授なので、実務家という側面が強いのかなと思う。 実務家出身の研究者は5年で枯れるという悪口を聞くこともあるけれど、この人のように研究を深めていけばむしろ研究畑しか知らない人よりもよほど立派な学者になれるという好例だ。 著者は、自治体が持っている問題をよく知っていて、それをどのようにすれば変えられるかという提言をしている。 それがタウンマネージャー制度。 企業でいえば執行役員制だ。 執行役員制というのは、市長から特定の分野に関して実務上の権限を委譲された専門家が行政を運営するという仕組み。 それぞれの得意分野で執行役員が実務を責任を持ってこなす。 都庁の職員として、狭い権限の中で自由に腕を振るえなかった著者ならではの視点なのかもしれない。 ただ、自治体生え抜きの職員が(現在の助役のように)執行役人になってもおそらく状況は変わらないだろう。 そういえば、尼崎では「参与」というかたちで民間から人材を登用して腕をふるってもらっていると聞く。 (というか、知り合いがその役割。いろいろ大変みたい) うまく行ってるのかな? 分析としては、第8章の5から始まる公共サービスの適正規模(p.203)が興味深い分析だった。 直感的にも、小規模都市と大都市の間のどこかに規模の経済性がもっともはたらく規模があるのだろうなとは分かる。 ごみについては、自分で検証したこともある。 これをいろいろな公共サービスに適用して並べてみるというのはおもしろい試みだ。 分析を精緻にしていけば、かなりおもしろい評価ができそうだ。
インタグの森の保護が前進するかも!
エクアドルで左派政権が政権を獲得しそうです。 コレア氏は左派ですが、「支配層は自分たちの特権を脅かすものをすべて共産主義者と呼ぶ」(ソース)と発言しているように、共産主義ではなく、むしろ反米・反新自由主義と考えるとその政策が理解しやすいと思います。 大まかな方針は、ベネズエラ、ブラジルなどの左派政権と共同歩調をとるようです。 選挙速報 まだ楽観はできませんが、現在日系企業も関わった鉱山開発で破壊されそうになっているエクアドルのインタグの雲霧林の保護が進展するかもしれません。 インタグの森は、僕も仲がいい団体、ナマケモノ倶楽部が深い関係を持っていて、森の保護も推進しています。 最近では、反対運動の指導者が賛成派の武装グループによって襲撃を受けて一時身を隠すという状態にもなり、一触即発状態です。 我々の生活には確かに鉱物資源は必要なのですが、そこまでして安く調達する必要があるものなのでしょうか?人をしいたげてまで、今の生活は維持しなければならないのでしょうか。
原子力問題で意外と知らないこと
明日、大阪の十三でセミナーをやる予定なので、いろいろと準備をしているところです。 このセミナーで使う資料は、www.osusowake.comで公開する予定なので、ときどきチェックしてみてください。 明日の話ですが、以下のような構成です。 原子力賛成!とか反対!とかいう前に、まずはこれぐらいのことを知っておけば、原子力ってなにがいいか悪いのか、自分で考えられるようになるかな、というところです。 盛りだくさんなのでそれぞれ、きちっと押さえておくという程度にしようかなと思います。 みなさん、ちゃんと答えることができますか?
- 原子力と放射能、放射線、核の違い
- 放射線の害:どういうしくみで影響があるのか
- 原子力エネルギーの種類:核融合と核分裂
- 原子力発電のしくみ
- ウランが利用されるまで
- ウランは燃料の枯渇の問題を解決するのか
- 核のごみ
- 電気について考えてみる
- もっと知りたくなったら
僕自身、さらっと答えることができなくて、ついあいまいな表現になってしまったりするので、ただいま予習中です。 参加希望の方は、僕までご連絡ください。
同窓会はいつまであるものなんだろう
今日は大学院の同窓会関係の会合に行ってきました。 すごく久しぶりに会う人がいたり、毎度のメンバーがいたりですが、まあちょっとずつメンバーが入れ替わっているかな。 今日の会合では、現在の研究科長を招いてOSIPP(僕の出身大学院ね)の将来についていろいろとお話を聞いて懇談しました。 といっても、僕は途中で帰ったので懇談の部分はちょっとしかいなかったのですが。 OBはおそらく400人ぐらいいると思うのだけれども、この会はそのうちの10人も集まらないことが多いです。 みんな忙しいとかいう理由は分かるけど、同窓会って自分のためにあるというよりは、後輩たちがより勉強しやすいようにとか、社会にでやすいようにするためのものだと思う。 僕たちが先輩から受けたいろいろな恩恵をお返しする場だって思えばいい。 そんなことを考えて、ほんとにときどきでいいから出席してもらえればな、って思います。
スローな勉強会@大阪YMO
こんにちは、坂田です。 結構楽しみにしてくれていた方も多かった、土庭での勉強会、復活です。 大阪の十三のスペースYMOでスローな勉強会を始めますので、お近くの方、参加してみませんか? とりあえず、僕とCafePitwu(1期生赤澤、4期生見島)がコラボでやっていこうかと思っています。 YMO連続講座のお知らせ 大阪十三に今年5月に誕生したスローな空間、スペースYMOでは、スローな活動に関す るイベントを開催しています。 その定期イベントとして、毎週火曜日には移動カフェ、Cafe Pitwuがやってきて、週一カ フェをやっています。 今回、定期イベント第2弾として、火曜夜にスローな勉強会を開催することになりました。 2週間に1回から1ヶ月に1回のペースで、仕事の後にぼちぼちと集まり、勉強をする時 間を作る予定です。 大学で環境問題を勉強したのにとか、環境問題に関心があるけど一人ではどこから初めて いいか分からないという方、またまた、大学で環境問題のこと聞いたけどもっと聞いてみ たいという方、などなどの参加をお待ちしています。 第1回目は、「ちょっとだけ知りたい、原子力の話」と題して原子力の問題を勉強します。 今回は、できるだけ賛成とか反対は抜きにして、「原子力ってなんだ?」というところを 勉強しましょう。2回目は、どうして原子力の問題に賛成の人と反対の人がいるのか、相 互の立場を考えてみます。 参加者には、スロービジネススクールが作成したブックレット「知ることからはじめよう」 をプレゼントいたします。 (ブックレット、お持ちの方には割引で1500円です) また、学生の方は、1200円(ブックレットお持ちの方は1000円です) 勉強会の詳細 日時:2006年11月28日午後7時半〜9時まで 場所:スペースYMO(阪急十三西口を出てフレンドリーストリートを通って約7分。) 連絡先:こちらからメールでお願いします。当日場所が分からない方は、0675037392までご連絡ください。 申し込みは人数把握のためですので、当日急に時間が空いた方は飛び込みでご参加ください。多少おくれてもかまいません。 申し込みくださった方で、都合でこれなくなった場合は上記まで電話いただけると助かります。 参加費:1700円(「知ることからはじめよう」とCafe Pitwuのドリンクワンドリンク無料券つきです) スローな勉強会ってなに?というかたは、こちら
生活というものは続けることが大事
昨日の日本経済新聞夕刊のインタビュー記事での玉村豊男さんの言葉。 玉村さんは、長野県に移住して23年になるが、2年前にワイナリーをオープンするという新たな挑戦をはじめている人です。 ワイナリーはレストランも開業していて、その模様は、「ヴィラデスト・カフェブック」に記されています。 生活の方は、田園の快楽―ヴィラデストの12ヵ月ちょっと古いけど、こっちに田舎暮らしの模様を記した本もあります。 本業はエッセイストなので、美食や食べ歩き、ヨーロッパの旅行記など数多くの著作があります。 いろいろ調べてみると、この人、今一部ではやりの「半農半X」の人なんですね。 特に、Xの部分は塩見さんがインスパイアされた「半農半著」の星川淳さんとまさに同じで、「著」の人です。 ただ、最近は、それだけでは飽き足らずに、半農半ワイナリーに発展するという、なんだか楽しい人です。 ちなみに、アマゾンで販売している玉村豊男さんの本へのリンクです。 著書の中では、特に、パンとワインとおしゃべりとなんかは結構良さそうな感じです。 というか、今まで、ワインとかヨーロッパって高級ぶって嫌みなエッセイストやなあって思ってたんですが、夕刊の記事を読んで、なんかすごく興味がわいてきました。 今日の夕方、梅田に出かける予定なので、早速買ってみよう。 今日のインタビュー記事では、参考になる話がたくさんありました。 この後で、いくつか抜粋しておきます。 「(農業について)世話をしないと作物は育たないが、世話をしても最後に台風が来て作物がやられたら、それでおしまい。人事を尽くしても限界がある。一種のあきらめというか、仕方がないと思うようになりました」 「農業を通じて思ったのは、生活というものは続けるコtが大事だということ。生活の目的は日々を暮らすことだけで、それ以外にはない。単純な繰り返しのなかにささやかな喜びがある。」 「いまはインターネットでの買い物が便利。東京でも本を探し歩くのは大変。ネッットで見つけて頼めば、すぐに宅配便で届く」 (日本経済新聞夕刊、2006年11月9日、13面) 玉村さんの話って、スローライフというのは、生活のなかの陰陽のうち陰の部分を大事にするという話につながります。 陰というのはつまり、日常生活。 これに対して陽というのは、本来は非日常なんだけど、都会暮らしだと毎日いい服を着て知らない人に会って・・・という生活なので、これは家を一歩でたら陽になってしまっているんでしょうね。 一種独特なのは、大学。 自宅から通ってくる学生は、わりときれいな格好をしてきて、まさに陽ってかんじなんだけど、下宿生は、パジャマっぽい服とか、ゾウリとか履いてて、きわめて陰に近い状態。 つまりは、陰と陽が入り交じっているのが大学なのかもしれません。 僕は本来、勉強というのは陰、日常のなかにあるべきと思っているので、こういう状態というのは面白い現象だと思います。 できるだけ、「おでかけ」で身構える、刺激を求める心を陰に近づけながら、勉強してもらうためには、下宿生たちのある種「ゆるんだ」服装、態度が重要かなと思います。 もちろん、僕の授業では私語厳禁ですけどね。