整理術の氾濫(メモ)

世の中には整理術の本があふれている。 捨てる技術や、収納の技術、あるいは、整理システムを提案するものもある。もちろんそれは、部屋の中だけではなく、研究資料であったり、コンピューターの中のデータであったりもする。 いずれのものも、現在無秩序に散らかっているモノの山をすっきりとさせてくれる夢の技術だ。 その本を読めば、本の通りに実践すれば本の著者が意図するような部屋になりそうな錯覚すら与えてくれる。 しかし、そんなものがすべて幻想であることも心のどこかでは分かっている。 いや、この話は単に整理術にとどまらない。 恋愛術でも、お金儲けの技術でも、受験勉強のノウハウでも、いたるところにノウハウ本があふれている。 そして、それぞれが結構売れている。 読者は、次から次へと新しいノウハウ本を買い、読み、批評して、また次の本を買いに走る。 もちろん、ノウハウは身に付かないままである。 いったいなぜこんなことが起こるのだろうか。 答えは、「本の通りにやらない」からである。 なぜやらないのか? 次から次へと様々な整理術が提案されており、目移りしてしまったり、様々なものにすでに挑戦して飽きてしまっているのかもしれない。 しかし、多くの人の回答は、「思ったより面倒だから」というものだ. ノウハウ本の帯には確かに「この本を読めばだれでも整理の達人になれる!」と人を惑わすような表現が書かれている。 確かに本を読めば他人にノウハウを伝授することは出来るようになるかもしれない。口でアドバイスできるだけで「達人」と呼べるのならば確かにすぐに、誰でも達人になれる。もちろん、本が読めて、内容を覚えるだけの記憶力は必要だ。 では、何が足りないのかと言えば、要するに「実行すること」が足りないのである。 イメージで「誰でも簡単に」変われると思っているから、ノウハウ本があくまでも「整理するとしたらどんな方法をとれば楽か?」ということをテーマにしているのであって、「整理しなくても整理できる」方法を教えてくれるものではないということだ。それをいつしか、読者は何かの魔法かなにかを本を読むだけで伝授されるものだと思い込んでしまう。 しかし、大切なのは、毎日何を実施するのかということだ. その意味で僕が母から言われた言葉がある。たぶんどこかから聞いてきた言葉なのだろうと思うのだが、面白いと思うので紹介しておく。 「眠る前の部屋」 という言葉だ。 眠る前に明日のことを想像して、片付けや持っていくものの準備等をしておけということらしい。