遠賀川源流の森づくりシンポジウム

6月1日、福岡市嘉麻市の夢サイトで開催された、遠賀川源流の森づくりシンポジウムで、パネルディスカッションのコーディネーターとして参加してきました。 基調講演は森の駅プロジェクトの仕掛人である丹羽健司さんです。パネリストは荒木光子さん、有田芳行さん、加納恵子さん、吉次昌則さんです。 丹羽さんの講演、おもしろかった。 森の健康診断で素人が山に対して、「もうちょっと間伐が必要やね」などといっぱしのことがいえるようになる。 こたつでゴロゴロしてたお父さんが、弁当とジュースを持って山に行くようになる。 静かだった山間の村にチェーンソーの音が響くようになる。 そして、みんなが毎日楽しそうに暮らす。 そんな村づくりの夢が実現する話でした。 戦後の拡大造林期に植林した嘉麻市の森が伐期になっているのですが、近年は森林環境税による補助金で間伐(切り捨て)が進むものの、材としての利用が進んでいないという現状をなんとかしたいというのがテーマです。 まずおもしろいのが、伐期になっているにも関わらず、間伐とはいかに?ということです。 この点は二つ理由があります。一つは、嘉麻市の森林、手入れが進んでおらず、材として使えるものが少ないので、しっかり間伐して木を育てていかなければならないということです。もう一つは、いい森だとしても、全部伐採して再植林するのではなく、良い木は残して、より高齢の木の森を育てていこうということです。 この背後には、もしかすると、皆伐しても再植林する意欲と資金力のある山主が少ないということがあるのかもしれません。 それはさておき、シンポジウムです。 正直言って、木の駅プロジェクトとパネリストがミスマッチ感があり、もう一つ盛り上がりに欠けてしまいました。 パネルディスカッションの時間は使い切りましたが、話がぶつぶつと途切れてしまった巻があります。 うまく軌道修正できなかった僕の力量不足です。 パネリストは、プロとして林業を見ている方ばかりで、素人の関わりを重視する木の駅プロジェクトとはスタンスが違います。 プロは木の駅を支援する側だと思います。で、パネリストのみなさん、支援する気持ちは満々でした。 そうなると、問題になるのが、実際に実行する素人山主がいるのか?というはなしにならなければ行けません。 が、パネルにはそういう方がいらっしゃらないのです。 だから、話が具体的にならず、空中での威嚇(というか、暖かい応援)に終始してしまったように感じます。 ある意味では、嘉麻市の林業はあまり困っていないのだと思います。 だから、新しいアイデアに飛びつかない。 材として売れるかもしれない木を素人が切り出して主に燃料用として使ってしまうなんて、はなしにもならない。 そんなふうに感じる山主も多かったのでしょう。 でも、山はもう二束三文の世界です。 環境税の補助だと切り捨て間伐なのです。 山主への利益還元はありません。 そこが議論の出発点です。 時代がよければ高く売れたはずだ。 今まで投入した苦労をなんとか取り戻したい。 政府がなんとかするべきだ。 このまま持ち続ければまた値が上がるかもしれない。 そういう段階はもう終わったのです。 価値がないという地点から、少しでも利益が出る方法、自分たちの苦労がみんなに感謝される方法を考えてもらいたいのです。 実際、山の価値、山を守ってきた方の活動は多くの方が評価しています。 ただ、それが山主の投入コスト、資産感覚にあわないだけなのです。 木の駅プロジェクトをきっかけにして、多くの方が山に関わるようになり、それが時代の村人を作っていくのだということが一番大切だと感じます。 それにはまず、森の健康診断です。 みんなが森についていっぱしのことがいえるようになることが必要ですね。 山は山主のものだから立ち入ってはいけないものという感覚から、山は自分たちがなんとかできるんだという感覚への変化。 いいですねえ。