シマフクロウの宿

目の前、わずか15メートル程のところに、シマフクロウがいる。 しばらくすると、二羽になった。 たぶん、実際には見れないこともあるんだろうなあとおもったものの、温泉だけでも魅力的だったので、この宿にした。 シマフクロウが来る宿として有名な養老牛温泉の藤やだ。 フクロウが何時に来るかは日によって違うというから、ゆっくり待とうと思っていたら、日が暮れるのを待つようにして、一羽現れた。 もう100羽程度しか残っていないと言われる天然記念物のシマフクロウ。 アイヌの人々はムラの守り神として大切にしたという鳥だ。 それが、目も前の池で魚をとっている。 今回の旅で出会った若手酪農家と自然ガイドは口を揃えて、自然は強いということを口にした。 多少の人間の干渉ぐらい動物は気にしない。 人口密度の低い北海道ならではの話かもしれない。 それでもシマフクロウがこれだけ数を減らしてしまったのは、干渉がちょっとぐらいという限度を超えたからだ。 今、環境省はシマフクロウ保護にいろいろと手を尽くしているらしい。 僕らが見聞きしただけでも、電柱の上の止まり木や、道路に飛び出すのを防ぐ黄色い旗、ドラム缶かなにかで作る大型の巣箱、個体にタグをつけての個体把握などだ。 トキにタンチョウにコウノトリ、ヤンバルクイナなど、保護の取り組みや成果はさまざまだけど、保護活動は、どこか(国がやっていることだから)と関心の外においていた。 自分にもできることがあるのではないかと、少し、考えたくなった。