オバマと京都議定書

オバマ米次期大統領が、一部の連邦知事で開催する世界気候サミットに送ったビデオレターによると、やはり米国は京都議定書には戻ってこないようだ。 実際のところ、1990年レベルから15%以上増えてしまっている現在、今さら7%削減の約束を果たすのは難しいのだろう。 2050年までに80%削減という目標は先進国で一致した目標は確認された。 ただ、2020年までに1990年レベルに削減と言うことだから、ブッシュの言う2025年までに伸び率をゼロにするという話よりはかなり進展しているものの、大きな問題をはらむ発言だ。 現在、世界は2013年以降の第二約束期間の議論をしている。 国際社会が目指すスケジュールでは、12月に開催されるポズナン会議、来年のコペンハーゲンで数値目標の大枠を決めることになっている。 つまり、数値目標はまだ決まっていない。 第二約束期間の目標は先進国については少なくとも第一約束期間よりも厳しくなるはずなので、1990年レベルと同等ということはあり得ない。 つまり、今回のオバマ発言は、世界で今交渉しているレベルには大きく届かない目標を提示して「私は環境問題に積極的だ」と言っているに等しい。 同時に今後の交渉において削減に消極的な態度を見せつけたことになるという、今回の発言の意図とは逆効果を生んでしまう可能性もある。 なんとなくオバマ次期大統領には期待しているだけに、もう少し考えて発言した方がいいんじゃないの?と思ってしまう。 これが詳細に分析して用意した発言であれば、かなり失望させられる発言だ。 第三の可能性としては、京都議定書に背を向けたブッシュの政策がもたらす温室効果ガス排出量が、4年のオバマの任期では取り返しがつかないことになっているということも考えられる。この場合は、オバマの発言はかなりがんばったという評価になるだろう。 米国の動向については、もう少し情報を待たなくてはならないようだ。 手始めに連邦キャップ・アンド・トレード制度を導入する。そして温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年水準までに削減、そして2050年までにさらに80%削減するために、毎年厳しい削減目標を設ける。さらに、クリーンなエネルギー未来を構築しようと努力する民間部門へ毎年150億ドルを拠出する。これにより、輸入石油への依存度低減、安全保障の改善、国内産業の転換、大量雇用創造による経済危機脱出が図れる。 オバマ次期大統領、超党派知事の気候サミットにビデオメッセージを送る