宝塚でラーメンを食べる

おいしいラーメンはスローフードになりうる。 スローフードの定義はいろいろあるが、「ちゃんとした素材を使った日常食」や「身近な場所にあるレストランや食堂」もスローフードになる。 そう考えると、近所のラーメン屋もスローフードのリストにいれられる。 宝塚駅周辺は女の町で、男物の普段着を手に入れることはほぼ不可能だ。 なにやら男子禁制という雰囲気すらあるこの町で、男の食い物のようなイメージもあるラーメンを探すのはとても難しい。 パスタ屋を探す方が簡単だし、サンドイッチのお店はなぜか結構ある。 駅から歩ける範囲だと、地下食堂街の「札幌ラーメン」と他2軒に加えて、川向こうの「ラーメン工房あ」ぐらいしか思いつかない。 僕が気に入っているのは川向こうの「あ」ラーメン。 「ラーメン工房あ」は、麺・スープ・焼豚にこだわりを持っている。 あっさり系のとんこつは、メニューにも、まずこれを食べてくださいというふうにすすめられている。 自慢するだけあって、とてもおいしい。 麺は細めで歯ごたえがかすかに残るようにゆで上げられていて、厚めに切られた焼豚がのっている。 ハムと見まごうチャーシューが横行する中で、ていねいに作られた焼豚はこれだけでも来る価値がある。 今日は、その「あ」ラーメンに、吹雪の中、担々麺を食べにいった。 朝起きたときからラーメンが食いたいモードだった。 ちょうど相方と意見が一致したので、昼過ぎに出かけていった。 家からだと20分弱で、駅からだと10分弱だ。 ちょうど猛吹雪だったが、これから食べる担々麺であったまろうというもくろみがあったので、寒さも苦にならない。 店についてメニューを見ると、担々麺がなぜかメニューに入っていない。 もしやなくなったのかと思って尋ねると、「用意できます」とのことだ。 用意できるけどメニューにないというのは、うわさの「隠しメニュー」になったのかとちょっと得した気分になった。 ここの担々麺は、赤くない。 しかも、肉味噌はない。 肉味噌の代わりにのっているのが、自慢の焼豚。 醤油がベースのタレでとろとろになるまで煮込んであるから、箸で下手につかもうとすると、とろりほろりと崩れる。 それでも噛むとブタの繊維はちゃんと歯ごたえとして残っていて、肉の味もしっかりしている。 もちろん、焼豚はスープに沈んでいるからすぐには見えない。 最初は、まずシラガネギが目につく。 そして、スープの色は、黒だ。 茶色が濃くなったような黒で、味噌の色でも黒ごまペースとそのままの色でもない。 両者が混ざり合ったような色だ。 レンゲですくうと、とろみがあって、味も濃い。 なんの味か正直よく分からないけれども、ダシの味と(たぶん)テンメンジャンなどの甘味噌系の味、その他いろいろ。 しっかりしたスープだが、麺を食べるのを忘れてついついスープを飲んでしまい、気づいたらすっかり麺が露出していた。 この辺りでようやく寒さにふるえていた体も暖まり人心地ついた感じがある。 そこで、焼豚に手を伸ばし、そのあとで麺を食べ、またスープをすする。 辛さは、それほどでもない。 スープを半分ぐらい飲んだあたりで、「そういえば辛いな・・・」と辛さにきづいてから、徐々に耐え難い辛みを感じはじめる。 舌の上に辛さが蓄積した感じの辛さだ。 「あ」ラーメンは他のメニューも含めて、素材はいい味を出すためにこだわり抜いていると言っている。 焼豚への気合いの入り方を見ても、手間も惜しんでいない。 惜しいのは、チェーン展開をしようとしているところ。 (すでに北摂〜西宮近辺で4店舗ある) そのためか、ホールのスタッフがバイトっぽいのが多いのがちょっと残念。 スタッフの愛想は悪くないのだけれども、次来たときは違う人が接客してるやろなーって思ってしまう。 まあ、店舗が広いからしょうがないかな。 とりあえず、宝塚で洋風の食べ物に飽きたら、ぜひここはおすすめ。 トッピング追加しても一人1000円前後で足りる。