クウェートとコンゴ民主共和国が京都議定書を批准

京都議定書はすでに発効していますが、批准国は増え続けています。 現在は、世界で146カ国が加盟しており、削減目標を持つ国々の排出量のうち、61.6%が批准しています。国連加盟国が191カ国ですので、もうしばらくはじりじりと批准国数、増加するような感じです。 (Kyoto Thermometer) 京都議定書を批准すると何が良いのかという問題ですが、要するに今話題の排出量取引に参加できます。削減目標を持つ国々から途上国に対して資金が流れ込むという期待があるわけです。 正確に言うと、途上国がメリットを得るのは「クリーン開発メカニズム」と呼ばれるもので、個別の温室効果ガス削減プロジェクトがもたらす削減量を先進国が購入してくれるわけです。 途上国にとっては、これ以外にも適応基金と呼ばれる基金などの適用も考えられるので批准しておいて損はないわけです。 ここでふと、考えるのは、「どうせ損はないのだから、なんでもっと早く批准しなかったのだろう?」という問題です。 もちろん、京都議定書が発効要件を満たす前は、「批准するから、自分の要求を聞いてくれ」と日本、ロシア、カナダ、米国などに代表される「かけひき」あるいは「わがまま」をとおすこともできました。 しかし議定書が発効してしまった今から参加するのは何となく「おいしそうだから臆面もなく参加した」と取られてしまうのではないでしょうか。 一方でイランなどのような産油国は議定書をあまり批准していませんでしたが、クウェートを皮切りに批准国が増える事も予想されます。 これは、「臆面もなく」というよりは、議定書の枠組みないで議論をして妥協を引き出した方が得策であると考えての事かも知れません。 議定書で残っている論点は、第2次約束機関の問題を除けば、適応基金の中身です。産油国が原油依存の経済がから脱却するための補助金を支出するかというのも一つの論点です。 この論点で産油国に有利な妥協を引き出すために、議定書に参加してきたと見る事も出来ます。 経済規模からいって、適応基金が産油国の補償に回るようになれば、基金が本来対象としていた島嶼国への支援は手薄になってしまう事は目に見えています。 これまでも交渉を自分たちに有利に進めようと様々な対策をしてきた産油国、これからも目を離す事は出来ません。 第2次約束期間の議論以外、一般の興味が薄れた感がある京都議定書を巡る交渉ですが、まだまだ注意しておく論点が残っています。