欧州排出量取引、企業を認証

共同通信でも報道されていたニュースです。 欧州委員会は、デンマーク、アイルランド、オランダ、スロベニア、スウェーデン、オーストリア、ドイツ、イギリスの国内排出量割り当てに関する計画を(一部条件付きで)承認しました。 この承認で、上記8カ国の約5000社が来年1月からの欧州排出量取引に参加することとなりました。当面の取引期間は2005年から2007年です。 今後、フランス、イタリアなども準備ができ次第、参加してくるようですが、排出量取引、本当にうまくいくんでしょうか? 経済学的には非常に効率的な仕組みだと言うことは分かるのですが、投機的な意図が絡むと、実はそんなに効率的なシステムでもない気がします。 排出量取引は、自分で二酸化炭素の排出量を減らすよりも安く減らすことが出来る業者がいれば、その業者に排出量を減らしてもらって、自分はその対価を支払うという仕組みです。 こんなふうに、関連する業者だけが関わっているのであれば確かに有効なシステムです。でも、投機的な意図を持った企業がいるとすると、その企業は利ざやを稼いで取引市場から撤退します。 そうすると、その利ざや分だけ削減を行わなければならない企業の平均的な価格が押し上げられることになってしまいます。 もちろん、大損して泣く泣く市場から撤退する企業がいれば、平均的な価格が引き下げられることになります。 今回のシステムは、そういう企業は入っていないようですが、本業を忘れて取引に精を出す企業は出てくるはずです。 排出量取引はあくまでも、安く削減できるところは出来るだけ利用して、社会全体の総費用を下げようと言う意図です。 変にもうけようとはするべきではないはずです。 って、書くと非現実的な教条主義ととられるかもしれませんね。 僕としては、なんとなくですが、本業に集中しながら、必要な分だけまじめに取引しようとする企業は少々損をして、本業を忘れる企業が得をする仕組みのようにしか思えません。 別に人が金儲けをする分には構いませんが、最終的にはそれで必要なところに必要な量の削減量が行き渡らずに、全体としても二酸化炭素の削減にならなかったという結果になったときに誰が責任をとるんだ?と言いたくなります。 その部分、儲かった人全員で罰金を払うシステムになんてなるわけがなくて、最終的には税金で解決することになるんでしょう。 排出量取引が効率的かどうかというのは、こういう攪乱的な企業が市場をどれだけ乱すのかという問題になります。 もちろん、誰もやったことがないのでどうなるかは分かりませんが、制度設計にはすごく注意が必要だということです。 僕も欧州取引、もう少し勉強してみます。 今回のプレスリリース Commission clears over 5,000 plants to enter emissions market next January 欧州取引の詳細については、こちらにQ&Aがあります。 Questions & Answers on Emissions Trading and National Allocation Plans (available in all Community languages) 物足りない方は、こちらに排出量取引に関する欧州指令全体があります。英語ですが、たったの15ページなので英語の勉強に良いかもしれませんね。 Articles 9 to 11 and Annex III of Directive 2003/87/EC