水素自動車は25年以内には普及しないと全米科学アカデミーが回答

Planet Ark : US Panel Says Hydrogen Car Is 25 Years Down the Road 米政府は、年間12億ドルを投じて燃料電池の開発を行ない、2020年までには水素自動車を一般消費者が購入できる価格にまで下げたい構え。 燃料電池は、自動車やトラックから出る排気ガスをなくすだけではなく、家庭やオフィスの電力・熱供給に利用することが出来る。 これに対して、科学アカデミーの議会諮問グループは、25年以内に目標が達成されるのは無理だろうと回答した。正確には、 「もっとも早いシナリオでも、25年以内にはガソリンの輸入・使用状況に顕著な影響は与えない」 ということである。 環境保護グループは、この問題に関して以下のようなことを述べた。 燃料電池が開発されるまでには、アメリカだけでも4億5千万台のガソリン車が売られることになる。中東に頼るガソリンの使用量を減らし、地球温暖化の問題を解決するのに、燃料電池だけに頼ることは出来ない。 SUVやRV、ピックアップトラックなどに燃費制限をかけるなど対策を考える必要がある。 燃料電池って夢のエネルギーのように言われてるけど、実はこの技術、そんなにたいしたものではない。 何がと言えば、燃料電池というのはあくまでも「電池」だと言う点を忘れてはならない。 何らかのエネルギー源(一次エネルギー)を用いて、燃料電池で利用する水素を作り出さなければならない。 そのエネルギーを確保する戦略を立てておかないと、現在の火力・原子力発電所で水素を製造するだけのことになってしまう。 そして、水素を輸送するのは、電気を送ることに比べればはるかにコストもかかる。技術的に解決されていない問題も多い。 燃料電池は、家庭用太陽電池、太陽熱温水器、地域で設置した小型風力発電所、バイオマス発電所などと組み合わせて使用するべきであろう。 周知のように、太陽光は不安定な部分もあるエネルギーであり、昼間はかなりあまるのに対して、夜間はまったく発電が出来ない。風力発電も同様だろう。 上記のエネルギー(循環型エネルギー)の中で、唯一安定していると思えるのがバイオマス発電であるが、もしかしたら、供給量が季節によって異なってしまう可能性もある。 現在はこういった不安定性の問題によって利用に消極的であるが、燃料電池の出現によって状況は劇的に変わる。 エネルギー供給側はエネルギーを供給できるときにどんどん供給すれば良い。あまれば、水素を作れば良い。 利用する側は、エネルギーを利用すれば良いのだが、ただし、深夜電力を利用した温水器と同じで、無限に利用できるわけではない。 さて、エネルギーの残量を気にして暮らすことはストレスだろうか? 地球環境の行く末を嘆きながらじゃんじゃんエネルギーを使うことと、使いすぎそうな日には少々エネルギーを節約する生活をすること、どちらがストレスだろうか? 「今日はたくさん使うかな?」と言う日のために町の水素屋さんにボンベを持ってきてもらうという選択肢もありえる。その他にも、このシステムの実施を前提にすれば、ストレスを緩和する方法はいくらでもあるだろう。 そういうのを前提にしたうえで、みんなはどっちを選ぶのだろうか。 僕に出来ることは、どの程度まで節約しなければならないかを試算して、人々に決断のための状況を提供することだけだ。 けれども、ざっと考えると、日常生活を営むためには必要十分なだけのエネルギーが供給できるのではないかな?という予想もある。   Planet Ark : US Panel Says Hydrogen Car Is 25 Years Down the Road