ロンドンで燃料電池バスが走る

Planet Ark Environmental News PicturesZero Emission Fuel Cell Bus Goes into Service in Londonより。 今年、1月24日より、ロンドンで燃料電池バスが走ることになった。燃料電池バスは、水素を燃料としており、排気ガスの代わりに水を排出する。路線は25番で、Oxford CircusからIlfordというから、中心部を走るのだろうか。この取り組みはヨーロッパの9都市で、排気ガスと騒音を緩和するために行なわれている取り組みの一環である。 燃料電池バス自体は、東京でも走っているから、珍しい話ではないが、まだニュース性はあるようだ。もう少しすると、「うちの町にも燃料電池バスがやってきた」という感じで地方新聞のネタにしかならなくなるだろう。 そして、その次は、ちょっと前のハイブリッド車のように「Aさんのとこ、燃料電池車にしたんやってさ」という井戸端会議のネタにしかならなくなる。 それまで、燃料電池で注目を浴びたい研究グループ、地域は報道発表ができるだけのネタをそろえる必要がある。 さて、それでは、燃料電池の時代はやはり目前まで来ているのだろうか? いろいろな人の話を聞くと、だいたい15年ぐらい先に普及期が来ることを目指しているというイメージだと思う。 5年先ぐらいにちらほら車が一般人にも買える値段で売られ始めるとしよう。 実際に車の買い替え需要等を考えると、燃料電池がそこら辺を走って珍しくなくなるのはやはり、15年先ぐらいか。 燃料電池車の市場価格が下がるのが10年先であるとすると、普及は20年先になる。 自動車が大量に普及したのをT型フォードに始まるとすると、1908年以来だから、その歴史はたかだか100年くらいである。 今から20年後、自動車の主要技術は本当に燃料電池なのだろうか?ソーラーパネル+バッテリーとかもかなり現実味を帯びてきているのではないか。あるいは安全で小型の原子炉とか、超超低排出ガス車とか。 20年というのはそういうことを想像してもおかしくないぐらいの年月だ。 そういう意味ではいろいろな可能性の芽はこれからもどんどん拾い上げて欲しいと、技術系の方々には要望したい。 さて、燃料電池が走るのはそれで結構なことなのだが、これが「Zero Emission」なのかというと少々疑問が残る。 水蒸気しか排出しないから無害。だからゼロエミッション。 そういうのは簡単だ。 問題はこの車が町中を走り回るようになったときだ。 どの車も水蒸気を排出して走る。 ・・・町中に加湿器があるような状態にならないだろうか? 僕は化学屋ではないから分からないけど、常に都市部はじめっとしている状態になる可能性はあると思う。 そして、都市の冷房需要(除湿機も含めて)はさらに増加し、エアコンからの廃熱は都市をさらに熱くする。 つまり、燃料電池技術によってヒートアイランドは加速し、都市はますます蒸し暑くなる。 こういうのが今後の都市像なのかもしれない。 Planet Ark Environmental News Pictures: Zero Emission Fuel Cell Bus Goes into Service in London