いよいよ動き出すポスト京都議定書

京都議定書の達成は無理だという主張を見て、「なるほど、無理なのか。あきらめよう」って簡単に思う学生に失望する日々です。 まだ希望はある、なんとかしようよって考える人たちがたくさんいるのに、すぐに楽な方に身を委ねてしまう安易さ。 なぜ無理という人と、そうではない人がいるのか、それぞれどういう根拠でそういうことを考えているのだろうか?と考えていくことが勉強じゃないかな。そして、「自分の考えはどちらだろうか?」と問うのもいいでしょう。 さて本題。 アジア欧州会議(ASEM)外相会議(ドイツ・ハンブルクで開催)が29日、閉幕し、2009年までに2013年以降の枠組みを決定すべきということで合意した。 (産經Webの記事) 詳細な合意内容(議長声明)はいずれ外務省から出されることだろうが、とりあえず、期限が区切られたのは大きい。 日本はなぜかこういう期限とか具体的な数値目標には反対しがちであるが、これは国内でも同じ。いつでも、漠然とした数値ならいいが、具体的なものになると「達成できないと責任問題が生じる」として拒否する。 期限を決めた数値目標を設定するのは、そもそも責任ある行動を求めているからであるのだから、政府の対応はつまり「やれたらやる」と言っているのと同じ。 報道記事を見ただけで判断してはならないが、今回の議論、今までの立場を協調しているだけなのだが、中国の真意が気になる。 中国というのは実は国内でもかなり環境対策を進めていて、(実施状態は別にして)制度上はかなり充実したものになっている。 特に若手官僚の意識が高いと聞く。 そんななかで、ポスト京都議定書の議論に参加している国は、最終的には個別の数値目標を持つことになるだろう。そこへ中国がきっちり参加してきているということは、中国自身が数値目標を持つつもりが積極的にあるのかもしれない。 もちろん、米国の動きも微妙だ。 次期大統領選を控える中、京都議定書への復帰は分からないが、ポスト京都議定書に対しては大幅な削減目標を受け入れるかもしれないし、それを主導する可能性もある。 (後で政権変わって離脱という可能性があるのはブッシュのときと同じ) そこで日本はどうすべきか? おそらく今は米国の陰に隠れ、さらには「中国の参加が必要」という言い訳に頼っている。 しかし、気づいたら、温暖化対策反対の最前線に立たされてしまっているという状態も見えている。 数値目標と期限を押し付けられるのではなく、自分から選択していくことが重要だ。 幸い日本には国立環境研究所があって、かなり詳細に日本の削減ポテンシャルを分析している。 10年後を予測するというのは難しいことだけれど、この10年で技術も意識もかなり変わった。 今後の10年はさらに変わるはずだ。 国際的には、これらの分析をベースに数値目標を主導的に提案していくべきだ。 まずは、炭素税を導入して、「俺は関係ない」と言っている人に行動のインセンティブを与えることが必要だ。 最近のガソリン価格の値上げと人々の対応を考えると、1炭素トンあたり3万円ぐらい(ガソリン1リットル10円程度?)の課税でも、社会へのショックは少ないと思う。 (もちろん、ガソリン税に含まれる道路関係の税は縮小して、税額全体の上昇は2−3円に抑える)