市町村合併と道州制の行き着く先

最近、ちょっと気になるので情報収集だけはしている。 自治体をどう変えるか(佐々木信夫著)は、これからの自治体像はどうあるべきかを正面から考えた提言の書だ。 著者は東京都庁の職員を経て東大教授なので、実務家という側面が強いのかなと思う。 実務家出身の研究者は5年で枯れるという悪口を聞くこともあるけれど、この人のように研究を深めていけばむしろ研究畑しか知らない人よりもよほど立派な学者になれるという好例だ。 著者は、自治体が持っている問題をよく知っていて、それをどのようにすれば変えられるかという提言をしている。 それがタウンマネージャー制度。 企業でいえば執行役員制だ。 執行役員制というのは、市長から特定の分野に関して実務上の権限を委譲された専門家が行政を運営するという仕組み。 それぞれの得意分野で執行役員が実務を責任を持ってこなす。 都庁の職員として、狭い権限の中で自由に腕を振るえなかった著者ならではの視点なのかもしれない。 ただ、自治体生え抜きの職員が(現在の助役のように)執行役人になってもおそらく状況は変わらないだろう。 そういえば、尼崎では「参与」というかたちで民間から人材を登用して腕をふるってもらっていると聞く。 (というか、知り合いがその役割。いろいろ大変みたい) うまく行ってるのかな? 分析としては、第8章の5から始まる公共サービスの適正規模(p.203)が興味深い分析だった。 直感的にも、小規模都市と大都市の間のどこかに規模の経済性がもっともはたらく規模があるのだろうなとは分かる。 ごみについては、自分で検証したこともある。 これをいろいろな公共サービスに適用して並べてみるというのはおもしろい試みだ。 分析を精緻にしていけば、かなりおもしろい評価ができそうだ。