いつ出番が来ても大丈夫な備え

「いつか自分がなることができたら、技術的にも、精神的にも怖じ気づかない準備はしていたいなと思っていました」 (VISA 2006年11月号p.65) 宝塚の星組男役トップの湖月わたるさんが引退するという記事の中の一言。 翻って、タカ派と言われてきた安部首相。 就任したとたんに今までの姿勢を転換させて、中韓に接近する姿勢を見せた。 この判断の基礎となる国際情勢は、ここ1ヶ月でそれほど大きく変わっただろうか? もちろん北朝鮮の核実験はあるが、それは少しあとの話だ。 安部氏と言えば、タカ派として知られ、中韓に対する強気の態度でも有名だった。 安部首相になると、中国と戦争になるとまで書いた週刊誌もあった。 よく言えば、「柔軟」なんだけど、政治家の姿勢としてものすごく疑問を感じる。 要するには、現在の国際情勢を考えるならば、中韓を敵に回すのは無理と判断したわけ。 今までは国際的には重要な立場ではなかったから自由な発言をし、首相に就任したとたん、現実的な対応をしたと考えるべきだ。 つまり、責任ある立場だったら絶対に言えないはずのことを、自由な立場だから言っていた、と。 仮に次期首相候補の筆頭とずっと言われてきた人物が、首相就任前にこんなに無責任でよいのか。 常に、「自分が首相だったらこうする」という観点から発言するべきだ。 そもそも、安部首相が誕生したのは、「これまでの言動・活動を党員が評価した」からだ。 それなのに、首相になったとたん今までと主張を180度変えてしまった。 似たような例では、野党のときは言いたい放題言っていたのに、政権党になった途端にそれまでの与党と大差ない行動をとって、国民の支持を下げてしまう政党もある。 日本では社会党だし、欧州では緑の党がそれに近い。 (緑の党はけっこうがんばってたけどね) いつ出番が来ても大丈夫な準備をしていた湖月さんの心構えを聞くと、こういう覚悟で精進している政治家を待望してしまう。