民主党:今後の選挙戦略(修正版)

民主党代表の岡田氏が辞任した。 惨敗の責任というよりは、選挙が始まった時点で「政権交代が実現できなければ辞任する」といっていたようだ。なんだか、最初からやめる予定だったとしか思えない。 心から、今回の選挙、勝てると信じていたのだとすれば、能天気というか、その現実感覚にあきれる。 今回の選挙は、郵政民営化を推進する小泉政権に対して、民主党はもっと抜本的な改革を主張していたようだが、十分な支持を得られなかった。 ただし、前回の177議席がむしろ民主党に浮動票が「流れすぎた」のであって、今回と前回の間、140議席前後が現在の民主党の実力と考えることも出来る。 次回以降の選挙で民主党は政権を取れるのかというのが、今後の関心だろうと思うが、少し考えるとこれは非常に難しいことが分かる。 今回の選挙、改革を推進する自民党対改革を提唱する民主党だった。どちらも改革なら、手っ取り早く何かを変える力を持っている自民党の方が有利だ。 「民主党が勝てば、来年からの郵政民営化はムリで、もっと抜本的な改革をするための討議が半年ぐらいは続く。自民党案にも難はたくさんあるが、ここは何かが変わるだけ自民党の方がましだ」 無党派層と呼ばれる人々がそう考えるのも無理はない。 次回はどうだろう? たぶんまた自民党は何らかの改革案(例えば年金?憲法改正?)を提示して、選挙に挑むだろう。 そのときもまた同じことが起こるに違いない。 具体的に法案を示して、「これで行くかどうか賛否を示してほしい」という政党と、「今決まりそうな案はだめだから、もう一度議論し直すべきだ」という政党。 結果は明白だ。 要するに、今回の選挙で自民党は「勝利の方程式」を作り上げてしまったように思う。 「xxxという問題をどうするか、政策論争をしよう」ではなく、それは選挙前にある程度行なって、「最終的な法案への賛否を問う」形にしてしまうのだ。 もちろん、他の政党は政策論争こそ選挙の争点であるべきだと主張するだろうが、選挙の争点を選べる段階で解散を選択するというイニシアティブを政権党から奪わなければなかなか政策論争にはなりにくい。 ちなみに、争点選択のイニシアティブを政権党から奪い、自分の手元に引き寄せるのは容易ではない。 不祥事で内閣が倒れた場合は「政治改革」が必ず争点なので、野党が争点を選択するのはなかなか難しい。 今回の選挙で民主党が争点を選択する唯一の道は、「郵政民営化法案はいろいろ問題があるが、今回は賛成する。そのうえで、xxという政策論争をしよう」と言うことしかなかった気がする。 それ以外に政権奪取、あるいは議席増の道はなかった。 いつでも「自分の方が正しい」と主張するだけで、ある程度の戦略的な妥協をしないならば、民主以前の野党と何も変わらない。 最近少しずつ、選挙や選挙制度に興味がわいてきた。 個人的にはマニフェスト選挙がいいが、そうなると個々の国会議員はあんまりいらないね。 表に立つのは各政党のリーダーだし、政策作るのは政党スタッフになる。そうなると、若手議員を議員にしておくのは、各政党の次世代のリーダーを若いうちから議員として育ておくような意味しかない。